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運動といえば筋肉や骨を鍛えるイメージがありますが、実は腱や靭帯、関節などの「結合組織」のトレーニングも重要だと、専門家が指摘しています。米紙「ニューヨーク・タイムズ」の記事を紹介します。

見逃されがちな「結合組織」の重要性

「筋トレ」や「骨強化」という言葉をよく耳にしますが、「結合組織トレーニング」という言葉はあまり聞きませんよね。しかし、オレゴン州立大学の理学療法学教授、ジェイ・ディチャリー氏は「体の各部位は異なる刺激に反応します。子どもたち一人一人を同じように扱わないのと同じように、体の各部位も同じように扱うべきではありません」と、ニューヨーク・タイムズに語っています。

結合組織、特に腱、靭帯、関節は、私たちの体を支える重要な役割を果たしています。年齢とともにこれらの組織は劣化しやすくなりますが、適切なトレーニングで強化することができるのです。

腱を鍛える:ゆっくりと重みをつけて

腱は筋肉と骨をつなぐ組織で、「バネ」のような働きをします。イースタン・ワシントン大学のジョエル・サットガスト助教授は「どんなバネでも、時間とともに伸びて弾力を失います」と説明しています。

腱を強化するには、ゆっくりとした動きで重みをつけたトレーニングが効果的です。例えば、アキレス腱を鍛えるなら、ゆっくりとしたカーフレイズ(つま先立ち)を行います。3秒かけて上げ、3秒かけて下ろす動作を25回、週2回行うのがおすすめです。慣れてきたら片足で行ったり、ダンベルを持ったりして負荷を増やしていきます。

靭帯を安定させる:低負荷で高回数

靭帯は骨と骨をつなぎ、安定性を提供します。突然の怪我で損傷することが多いため、予防が重要です。靭帯のトレーニングは、低い負荷で多くの回数を行うのが効果的です。

例えば、足首の靭帯を鍛えるには、片足立ちのバランス運動がおすすめです。裸足で30秒間、片足で立ち、揺れないようにします。より難しくするなら、目を閉じて行ってみましょう。

関節を柔軟に:多方向の動きを

関節は、年齢とともに潤滑液が減少し、軟骨が薄くなります。しかし、適度な運動は関節にとって良いのです。ロチェスター大学メディカルセンターの整形外科専門医、キャサリン・リゾーン氏は「大人になると、様々な活動をする体育の授業のようなものがなくなります。だからこそ、異なる動きを見つけることが重要です」と指摘しています。

関節の健康には、多方向の動きを取り入れることが大切です。例えば、手首の関節が痛い場合は、粘土やシリーパテを使って、様々な形に変形させる運動を行います。これを2分間ほど続けるのがおすすめです。

まとめ

筋トレや有酸素運動も大切ですが、結合組織のケアも忘れずに行うことが必要です。日々の生活の中で、ちょっとした時間を使って結合組織のトレーニングを取り入れることで、怪我の予防や体の調子を整えることができます。自分の体と相談しながら、無理のない範囲で結合組織のケアを始めてみてはいかがでしょうか。