「毎日同じことの繰り返し」「新しいことを始めるには遅すぎる」──中年期に差し掛かると、こんな思いに囚われがちです。しかし、本当にそうでしょうか?ワシントン・ポスト紙が報じた記事は、50歳を目前にして人生を大きく変えた女性の体験を通じて、私たちに新たな可能性を示してくれています。
Guest column | How to break the cycle of ‘sameness’ and push yourself in midlife
ジャーナリストのグエンドリン・バウンズ氏は自身の50歳の誕生日について、こう振り返ります。
「50歳の誕生日の午前中、私は泥だらけになりながら有刺鉄線の下をくぐり、5メートルのロープを登り、18キロの砂袋を持ち上げていました。そして、スズメバチに刺されながらも、槍を投げていたのです」
バウンズ氏が参加していたのは、「スパルタンレース」と呼ばれる過酷な障害物競走です。スパルタンレースは、クロスカントリー走と軍事訓練のような障害物を組み合わせた競技で、参加者の体力と精神力を極限まで試すことで知られています。コースの長さは5キロから42キロまでさまざまで、火の上を跳んだり、重い物を運んだり、高い壁を登ったりと、想像を超える難関が待ち受けています。
その5年前まで、バウンズ氏はデスクワーク中心の生活を送っていました。長時間パソコンの前に座り、毎日が月曜日から金曜日へと流れていくような日々。多くの中年の方々が共感できる光景ではないでしょうか。
しかし、ある酔っぱらった夕食会での出来事が、彼女の人生を大きく変えることになります。
45歳の誕生日を目前に控えたある日、著者は偶然、年配の男性が若い女の子に「大人になったら何になりたい?」と尋ねる会話を耳にします。
「その瞬間、胸に強い衝撃を受けました。中年になった私に、もう誰もそんな質問をしてくれない。そして、私自身も自分に問いかけることをやめていたのです」と、著者は当時を振り返ります。
この出来事をきっかけに、著者は「人生で最も困難なことは何か?」とインターネットで検索し、スパルタンレースという過酷な障害物競走に出会います。そして、それまでの生活を一変させる決意をするのです。
この経験をきっかけに、バウンズ氏は大きな変化を遂げました。5年間で52回ものスパルタンレースに参加し、2回の世界選手権にも出場。かつては最下位に近い成績だった彼女が、今では50-54歳の年齢グループで表彰台に登るまでになったのです。